ミンダナオドームの研究


 


 本研究では、初めて経年変動についても調べました。数少ない観測より、大きな経年変動が存在する可能性は示唆されていますが、そのメカニズムについては、まだ何もわかっていません。ここでは、代表的な例を2つ示します。

(1)未成熟に終わる年(1984−85年)

 ミンダナオドームが発達するはずの冬に、強い遠方で強制された沈降流が起きているため、この年は、ミンダナオドームは発達できませんでした。これは、エルニーニョの前に西太平洋に暖水が蓄積されると言う観測事実とも一致します。


(2)夏まで残存する(1990−91年)

 風の回転成分による強いエクマン湧昇が起きて冬季にミンダナオドームが発達したあと、春から初夏にかけて、強くなるはず遠方で強制される沈降流がこの年はずっと弱いままです。このため、ミンダナオドームは、夏まで持続したと考えられます。


この他にも、冬季のアジアモンスーンに伴う湧昇が弱いために発達しなかった年なども存在しました。以上より、ミンダナオドームの経年変動は、季節変動の必須要素である冬季アジアモンスーンに伴う局所的な湧昇と東方からの暖水の侵入の変動によって決まることがわかりました。



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