また蒸し返す。
最近聞いた話で 「分かった」というのは分野によって違うという説明をされてなるほど。いわく、 「工学では再現出来たら、理学では予測出来たら、数学では分類出来たら『分かった』といえる」。
最近全米科学・工学・医学アカデミーの『2025 年から 2035 年海洋科学の方向性』(正確には consensus study report というもので各分野を代表する委員が業界から聞き取りした 証拠のある evidence-based 意見の集約)が出版された。 で、表紙見りゃ分かるのだがこの先十年の一大事は「人類の福祉のために関係する時間スケール・空間スケールで海洋を予測するための新しいパラダイムを 2035 年までに打ち立てる」と来た。 つまり「理学」として「分かった」と言いたいそうだ。で何を見るかといえば
- 海洋が熱・二酸化炭素を吸収する量を理解・予測
- 海洋生態系の resilience (よい日本語が思い浮かばす。 しぶとさ?打たれ強さ?)
- 極端現象
を挙げた。で、もうmulti-disciplinary とか inter-disciplinary とか言ってないで trans-discipinary で 行きましょうや、と威勢が良い。でも実際の質疑応答では金がないとか、将来予測ったって今分からんもんもあるし PI の好奇心優先で基礎科学的な研究も必要だよねとか、地道なデータインフラ見落とすな とかいつもの議論でちょいと安心。
普通に考えて「予測」とは数値モデルしかありえないと思うのだが「新しいパラダイム」ってのは何なのだろう。理学としてはあんまり統計に振ってほしくなくて「膝打ち感」というか「目鱗感」を求めたいのだが。 まずは座って人類がもつ海洋の知識を集大成したシミュレーションの結果を吟味するってのは王道に見える。ちゃんと物理に基づいた数値モデルによる将来予測は「分かった」 と言っていいような気がしてきた。