エアロゾルの間接効果は地球温暖化を引き起こす放射強制力の最大の不確定要因となっている。特に東アジアは人間活動によるエアロゾルの増大が世界的に見ても著しく、エアロゾルの間接効果が大きいと考えられるため、その数濃度や雲物理量への影響評価が重要である。
しかしこれまでのグローバルモデルでは、エアロゾルや雲物理の扱いが簡略化されており、一方、エアロゾルの数濃度や粒径分布を詳細に計算する領域モデルでも、最終的な降水影響のみが示され、エアロゾルや雲物理量の変化が示されていない。
本研究では、エアロゾルと雲との相互作用を表現した領域三次元モデルである WRF-chem を用いて、東アジアでのエアロゾルの間接効果を評価する。そのために、まず東アジアのエアロゾル数濃度・粒径分布の特徴の解析を行った。さらにエミッション (大気中への物質の放出) を 1/10 にした計算を行い、数濃度・分布の変化を調べ、それらを支配するプロセスについて考察した。今後は、エアロゾルが雲物理量へ与える影響の評価へと研究を進める予定である。