2010 年度 第 15 回 気象学セミナー

場所 理学部 1 号館 8 階 851 号室
日時 10 月 7 日 (木) 16:30〜18:00
講演者 高野 一生
講演題目 高解像度気候モデルデータに基づく鉛直波数スペクトルの全球的特徴の解析
概要
 本研究は、高解像度気候モデルデータを用いて、水平風・鉛直風・温度の各鉛直波数スペクトルの地域及び高度依存性を調べることを目的としている。
 観測データを用いた先行研究により、水平風と温度の鉛直波数スペクトルは鉛直波数のマイナス3乗の定数倍でよく近似されることが知られている。しかし、先行研究に用いられた観測データは地域や高度、観測期間のいずれかが限定されたものである。高度に関しては比較的データの多い下部成層圏まではよく解析されているが、データの少ない中間圏以上では特に解析が限定的である。次いで地域に関しては観測地点の分布に偏りがあるため全球に渡る解析はほとんど行われていない。また、マイナス3乗が厳密にはマイナス3前後でばらついていて、何らかの分布を持っている可能性も先行研究から示唆されている。
 そこで、本研究では鉛直分解能の高い重力波解像可能な気候モデルのシミュレーションデータを用いて、全球での鉛直波数スペクトルの3次元的特徴の解析を試みた。また、ほとんど解析されていない鉛直風の鉛直波数スペクトルについての計算も行った。今後、解析で示された特徴の力学的メカニズムの解明を目指す。