少し前に書いたことではあるのだが、Naveira Garabato et al. (2016) が面白い主張の仕方をしているのでメモ。
ある緯度で海洋を切断して、その断面を通るトレーサ \(C(x,z,t)\) の流量 \(T\) を考える。 \[T = \int^L_0 \Sigma (\overline{vh} + v'h')\overline{C}\mbox{d}x + \int^L_0 \Sigma (vh)'C'\mbox{d}x\] と分解して第一項を overturning circulation 成分と考え、二項目を eddy diffusion と考える。「高緯度の沈み込みが子午面循環を『駆動』している」を「|第一項 |\(>>\) |第二項|」と定義するのが味噌である。
大事なことなので引用
The overturning-based paradigm of high-latitude ocean ventilation that commonly underpins discussions of the ocean's role in climate assumes \(T^{ovr} >> T^{dff}\)
もちろん \(T^{ovr}\) が第一項云々である。この仮定の下で各種データから第二項がまったくもって第一項より大きいことが示されている。補足すると
In this paradigm, the renewal of ocean interior properties is assumed to be fundamentally underpinned by high-latitude downwelling, and the role of ocean ventilation in Earth's climate is framed in those terms.
ということが彼らの『駆動』である。sensitivity という意味では渦で運ばれる水の性質 C も ventilation で決まっているので、やっぱり言葉の問題になってくる。量としても渦輸送を厚さ輸送と考えると厚さのかた一方は ventilation で決まるので関係はある。渦上等には大いに首肯する。