先日の続き。海洋のエネルギー論は結論に至っていた。Zemskova et al. (2015) がその答え。図 12 から、「海洋大循環は 1.95 TW の風からのエネルギー注入と 0.46 TW の大気からの熱フラックスによって駆動されている。」いままで意味をはっきり決められないので「駆動」という言葉を避けてきたが今回ばかりは躊躇なくいえる。
結論とほぼ同じ議論は実は Gnanadesikan et al. (2005) とか Urakawa et al. (2013) に書いてあったのだがこれらを読んだときは全然解釈が’追っついていなくて、いまやっと意味が分かった。ここまできっちりやられるとあとは数字の調整とかモデルに入っていない地熱とかそんなものしか思いつけない。
Abyssal Recipes は「深層水生成量≒湧昇量が位置エネルギーの変化を決定する」というエネルギー論と「深層の成層は鉛直乱流混合で維持されている」という密度保存論の二つが仮定されている、という Zemskova et al. (2015) の議論はいみじ。