あんまり他の人がこういう話をしているのを聞いたことないのだが、同業者に尊敬している人がいる。一人は John Stuart Godfrey。どっか適当なサイトにリンクしようとしたのだが彼の書いた教科書以外にこれといったサイトがなかった。そういう人であるなあ。
海で一山!(意訳)などというイベントの最中に言うことではないが、彼は「だってこの問題が面白いから・気になるから」という理由で論文を書き続けていた人だと思う。同期の連中がどんどんアカデミアを離れて経営側に移っていくような状況でもずっと一学者だった。まだご存命だとは思うけれど。
彼が2000 年に書いた論文を四回目くらいに読んでどういう理由だかさっぱりわからないが、彼が何を言いたかったのか理解してしまった。通常彼の論文は難解ではない。これも難解ではないのだけれどなぜかすんなり入ってこなくて何度も読み返していた。実は後で知ったのだが彼はこの論文執筆中に母上を亡くしてつらい状況だったらしい。なるほど Received から accepted まで 18 か月もかかっている。しかもどういうわけか出版されたときギリシャ文字がすべて黒丸(●)に置き換わってしまっている。校正どころではない状況だったのか。
実はそのあと彼とこの論文に多少関係する仕事をする機会があった。ところがこの論文が理解できなかった当時はかなり的外れな阿呆な議論をしていたなあ、と今日思い返して痛恨。後悔。