対数正規分布する乱流拡散




17 Feb 2015

運動エネルギー拡散率 \(\epsilon\) あるいは温度拡散率 \(\chi\) が対数正規分布をしていると示したのはBaker and Gibson (1987)で正しいだろうか(実はGregg et al. (1973) も指摘している。ただし We find this to be a curious result for which we have no explanation. 6 Oct 2017 追記)。Yamazaki (1990) によれば、Kolmogorov (1962) まで遡れるらしいが。対数正規分布幾何ブラウン運動で模倣される系が従う頻度分布らしい。伊藤の過程として書けば

\[ \frac{\mbox{d}S_t}{S_t} = \mu\mbox{d}t + \sigma\mbox{d}W_t \]

で、つまり成長が自身に比例して加えて自身に比例する擾乱があるような場合。成長率が一定の成長と一定の大きさの擾乱にしたがう、と言ってもいいか。これがかのブラック-ショールズ方程式だそうだ。一定の成長率は線形不安定理論ではおなじみだがこの擾乱って何? さらにさらに対数正規分布は \(\log St\) の平均と分散を固定するという条件の下で与えられる最大エントロピー分布だそうだ。以下は妄想。もし地球に入ってくる熱・エントロピーのバランスが子午面循環を規定するとすれば、これらの条件がローカルな乱流拡散の対数の(何故対数?)平均と分散を固定しているとか!

(以下 02 Sep 2020 追記)

やだねもう 5 年も経ったか。 この件に関して重要なのは Davis (1996) で、上記 Yamazaki (1990) に加えYamazaki and Lueck (1990) も紹介してある。要は代表的な長さスケールがない波数領域では大きさ \(l_i\) で平均した(トレーサ)散逸 \(\chi_i\) の比 \(\alpha_i=\chi_i/\chi_{i−1}\) が一つの母集団からとれるだろうという理屈。そうすると \(\log \chi_N= \log \chi_0 + \Sigma \log \alpha_i\) となって最終項が中心極限定理によって正規分布。(というのは雑な議論で初期のGurvich and Yaglom (1967) とかフラクタルな βモデル とか Yamazaki(1990) の B モデルがある。)Davis (1996) には温度保存式から分散の時間変化を求むる方法も出ていておもろい。ただこれは \(\chi\) の話であって運動エネルギー散逸 \(\epsilon\) はずっと厄介。これも Davis (1996) に書いてある。本当にこの人は。