2009 年度 大気海洋合同セミナー

場所 理学部 3号館 3階 326号室
日時 1 月 15 日 (金) 10:30〜12:00
講演者 大野木 和敏 氏 (気象庁数値予報課)
講演題目 観測データの品質管理と長期再解析JRA-25
概要

現業数値解析予報システムの根幹を形成しているのは、データ同化 サイクルである。これは、観測データの同化と予報を相互に依存させ ながらサイクル的に連続して行うもので、全球の大気の状態を高精度 で再現する。長期再解析は、最新の数値解析予報モデルを使用してデ ータ同化サイクルを数十年分行い、過去の大気の状態を均質で高精度 に再現し、気候研究をはじめとする様々な業務・研究に活用すること を目的とする。JRA-25は、気象庁と(財)電力中央研究所が、気象庁 現業モデルをベースに26年分のデータ同化サイクルを実施して作成し、 その後もJCDAS(気象庁気候データ同化)として継続されている。  講演では、(1)現業モデルのために新規開発・改良された観測データ の品質管理手法、(2)過去のラジオゾンデデータの品質調査、(3)JRA-25 の概要とその特性、(4)JRA-25での熱帯低気圧の表現特性、について紹 介する。(1)は講演者が気象庁数値予報課において新規開発・改良した 手法であり、(2)はECMWFのERA-40プロジェクト参加時に行った過去の ラジオゾンデデータの品質調査である。JRA-25では、(1)(2)の成果が使 われている。また、JRA-25は、熱帯低気圧周辺風データを同化した初め ての再解析である。(4)では、これをERA-40や同データを使用しない比 較実験と比較しながら、JRA-25での熱帯低気圧の優れた再現性について 述べる。