本研究はCCSR/NIES CCM REF2 シナリオによるシミュレーションデータを用い て、21世紀のオゾン回復期における成層圏循環の変化及びその力学メカニズムの 解明を目的としている。この実験では温室効果気体の増加はIPCC A1B シナリオ を、ハロゲン気体の減少についてはWMO Ab シナリオを与えている。本発表では Transformed Eulerian Mean(TEM)系で計算される流線関数で成層圏循環の変化を 明らかにし、「ダウンワードコントロール」(Haynes et al. 1991)で計算される 流線関数をもちいて変化に対する波の寄与を考えた。その結果として、21世紀後 半は下部成層圏では地形性重力波のドラッグによって駆動される循環の変化が ロスビー波によって駆動される循環よりも支配的となる可能性があることがわか った。