場所 | 理学部 1号館 西棟 7階 710号室 |
日時 | 10 月 2 日 (木) 10:30〜12:00 |
講演者 | 宮坂 貴文 |
講演題目 | |
CMIP3マルチ気候モデルに見られる夏季北太平洋亜熱帯高気圧
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概要 | |
夏季海洋上に気候平均的に存在する亜熱帯高気圧は海盆の東側に 中心を持ち、沿岸湧昇等を通じて沿岸付近の低海面水温に寄与した り、下層大気の安定化を通じて海洋性層雲の発達に寄与していると 考えられ、気候システムの重要な一要素である。このような亜熱帯 高気圧は海洋性層雲による長波放射冷却と大陸西岸での顕熱加熱か らなる海陸間の加熱コントラストによって形成されるとの作業仮説 がMiyasaka and Nakamura (2005)により得られている。本発表では CMIP3マルチ気候モデルにおける気候平均的な夏季北太平洋の亜熱 帯高気圧の中心付近の循環場の再現性の解析の途中経過を報告する。 CMIP3マルチモデルでは再解析に比べて海陸間での温度コントラ ストが強めのモデルが多く、そうしたモデルほど海上の高気圧と大 陸上の低気圧も強めの傾向にあり、相関関係が見られた。しかし、 海陸温度コントラストを形成する要因であると考えられる下層の非 断熱加熱を熱力学方程式の残差項として評価すると、海洋上の冷却 率と海洋性層雲の雲量の間にはあまりはっきりとした相関関係は見 られなかった。その一方で、海洋性層雲の雲量と地表での日射量、 海面水温とは相関関係が見られ、こうした結果は基本的には Miyasakaand Nakamura (2005)の作業仮説を支持していると考えら れる。海洋性層雲の果たす役割の評価についてはまだ検討の余地が あり、今後の課題である。 |