場所 | 理学部 1号館 西棟 7階 710号室 |
日時 | 7 月 17 日 (木) 10:30〜12:00 |
講演者 | 木下 武也 |
講演題目 | |
3次元残差循環を用いた成層圏オゾンの輸送に関する研究
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概要 | |
成層圏の化学・放射過程で中心的な役割を果たすオゾンは、熱帯中上部成層圏の 光化学過程で作られ、ブリューワドブソン循環によって、中高緯度に運ばれてい る。この子午面循環は変形オイラー平均(TEM)系を用いることで、定量的に評価 することが出来る。主に輸送過程で決まる中高緯度のオゾン全量分布は東西非一 様な形をしている。その成因を明らかにするには、子午面循環の経度依存性や東 西方向の輸送を調べる必要があるが、帯状平均を用いるTEM系ではそれらを表現 することが出来ない。 Wirth (1993) は、約10年間の衛星観測データから南半球のオゾン全量分布の気 候値を作成し、その東西分布に波数1,2成分が卓越すること、50hPaにおける温 度擾乱の東西分布と強い正の相関があること、その温度擾乱が波数1,2のプラネ タリ波に因ることを示している。しかし、その東西分布の経年変動や、時間平均 して得られる子午面循環の経度依存性の影響などは調べられていない。 以上をふまえ、本研究では、東西非一様な子午面循環がオゾン全量の東西分布に 与える影響を調べるため、TEM系の3次元への拡張と、衛星データと客観解析デー タを用いた解析を行った。発表前半では、TEM系にならい導出した3次元残差循環 と3次元wave activity fluxについて詳しく述べる。これはMiyahara (2006) の3 次元フラックスの拡張となっており、同様に慣性重力波にも適用可能である。後 半では、1993〜2006年のオゾン全量分布と下部成層圏温度、及び対流圏界面高度 との関係を示し、今後の解析の方向性について議論する。 |