2003 年度第 18 回 気象学セミナー

場所 理学部 3号館 320 号室
日時 1 月 20 日 (火) 16:30 -- 18:00
講演者 小坂 洋介
講演題目
PJパターンの発生メカニズムに関する研究
概要

Nitta (1987)によるデータ解析以来、北半球夏季において熱帯西太平洋での 積雲対流活動が北半球の大気循環に影響を与えることが知られている。年々 変動のタイムスケールでは、熱帯西太平洋の対流活動と日本付近の高度場 に正の相関が見られ(ダイポール構造)、季節内変動のタイムスケールでは さらに北太平洋岸に沿って北米にまで達する波列が見られる(PJパターン)。こ れは対流活動に伴う大気加熱によって励起されたロスビー波列であると考え られる。

積雲対流活動に伴う熱源は、大気に対して傾圧強制としてはたらき、下層に 低気圧・上層に高気圧という二階建て構造が形成される。しかし、傾圧擾乱は 低緯度にトラップされてしまい、中・高緯度まで伝播できるのは順圧ロスビー 波に限られる(Hoskins and Karoly, 1981)。実際に、PJパターンも等価順圧的 な構造を持っている。従って、何らかのプロセスで傾圧強制から順圧擾乱が励 起されなければならない。さらに、励起された順圧擾乱が必ずしも日本付近で 高気圧偏差になるようなものとは限らない。

そこで、この傾圧強制による順圧擾乱の励起、およびその位相に着目し、数値 モデルを用いた研究を行っており、その経過を発表する。