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沿岸ニーニョ現象

 沿岸ニーニョ現象は、熱帯域から亜熱帯域にかけての大陸の西岸沖の海面水温が平年よりも高くなる現象です(図1)。沿岸ニーニョ現象は、元々、乾燥していて、異常気象に対して脆弱な地域に隣接する海域で発生するため、地域の気候変動に大きな影響を与えます。また、これらの発生海域は生態系が豊かで、東岸湧昇域は世界海洋に占める面積が1%であるにも関わらず、世界の漁獲量の約20%が取れることから、生態系や漁業活動にも大きな影響を与えます。しかし、多くの現象が2010年代になって発見されたこともあり、メカニズムの理解については遅れています。大規模な気候変動現象と同様に、これらの沿岸ニーニョ現象についても、メカニズムの理解や予測を通して、将来的には、上記のような影響を軽減したいと考えています。


図1:沿岸ニーニョ現象の発生海域の模式図


 オーストラリア西岸沖で発生するニンガルー・ニーニョ現象については、共同研究者の土井威志博士(海洋研究開発機構)がわかりやすいコラムを書かれていますので、こちらを参照してください。