2011 年度 第 16 回 気象学セミナー

場所 理学部 1 号館 8 階 851 号室
日時 12 月 22 日 (木) 16:30〜18:00
講演者 安田 勇輝
講演題目 対流圏界面直下の弱い成層領域に捕捉された重力波 -地球角速度ベクトルの水 平成分の影響-
概要
対流圏界面付近では、鉛直スケールが 1-3km 程度の長周期波動が頻繁に観測さ れており (例えば Sato & Woodman, 1982)、対流圏と成層圏間の物質混合に影響 を与えると考えられている (Danielsen 他, 1991)。これらの波源についての研 究は多くなされているが (例えば Hines, 1989; Cornish & Larsen, 1989; Sato & Dunkerton, 2002)、圏界面付近に波が捕捉されるメカニズムは不明である。

ところで近年、地球角速度ベクトルの水平成分に由来するコリオリ力 (f_H力) が、海洋中では無視できない場合がある事が指摘されている (Kasahara & Gary, 2006)。特に上下共に rigid lid の場合、fH力により慣性振動数よりも低周波数 を持つ sub-inertial モードが出現する。これは従来の慣性重力波モードと異な り、弱い成層領域で卓越する。

大気においても対流圏界面直下に弱い成層領域が存在する。本研究ではこれに着 目して、f_H力の重力波の特性に対する影響を線形 Boussinesq 系を用いて調べ た。その結果、弱成層域においてf_H力に起因する捕捉解が存在する事が明かと なった。名瀬におけるラジオゾンデ観測データを解析した所、この捕捉波と特徴 が似た擾乱が存在する事も確認できた。