2010 年度 第 26 回 気象学セミナー

場所 理学部 1 号館 8 階 851 号室
日時 2 月 10 日 (木) 16:30〜18:00
講演者 小林 寛
講演題目 論文紹介: Codron, 2007, Relations between Annular Modes and the Mean State: Southern Hemisphere Winter, Journal of the Atmospheric Sciences.
概要

 南半球の夏のようなシングル渦駆動ジェットを伴う東西対称気候場において、南半球環状モード (SAM) で記述されるように、中緯度変動は気候平均ジェットの極大緯度の周辺でのジェットの変動によって支配されている。この結果が東西非対称性を有する気候場においても支持されるかどうかを研究するために、観測された南半球冬の変動が解析された。この場合の気候平均状態は比較的弱い定常波によって特徴付けられる。亜熱帯ジェットの緯度方向の構造と気候平均した強さは顕著に東西方向に変化している。夏と同様に冬の SAM 形状は環状であり、双極子構造を持つ風偏差に対応している。しかし、SAM は異なる経度帯においては異なる振る舞いを示す。インド洋上空では、SAM は気候平均ジェット極大緯度の周りでのジェットの南北方向のシフトに主に対応している。一方太平洋上空では、極前線ジェットと亜熱帯ジェットに対応する異なる二つの緯度の間で風速のシーソーによって特徴付けられている。インド洋領域、太平洋領域両方の領域の渦強制と傾圧性に関する合成図解析は二つの異なる挙動に整合的である。東西平均のケースとして、短周期の渦は SAM に伴なう長周期の風偏差を強制維持する。しかし、太平洋領域の渦による正のフィードバックは太平洋上の西風偏差でのみ引き起こされるのではなく、上流側のインド洋領域の西風偏差によって最も影響される。