2010 年度 第 10 回 気象学セミナー

場所 理学部 1 号館 8 階 851 号室
日時 7 月 1 日 (木) 16:30〜18:00
講演者 小川 史明
講演題目 対流圏擾乱活動と東西風分布の,海洋前線帯の緯度に対する依存性の研究
概要
 従来,中緯度海洋は大気大循環に対して受動的であると考えられてきた.しかし最近,中緯度海洋前線帯における強い海面水温 (SST) 勾配が大気大循環に対して能動的に影響する可能性が指摘されている.そこで,海洋前線帯が大気循環に果たす役割の理解を深めるため,大気大循環モデル (AGCM) に東西一様な SST分布を与える「水惑星実験」を行い,移動性擾乱活動や東西流の平均状態が海洋前線帯の緯度にどのように依存するか調査した.
 講演前半においては,気候平均場について解析した結果を発表する.対流圏中緯度における移動性擾乱活動とそれに伴って形成される極前線ジェットの緯度や強さ,亜熱帯ジェットの強さについて,海洋前線帯が互いに異なる実験の結果を比較し,考察する.
 後半においては,環状モード変動に着目して,それに伴う極前線ジェットや移動性擾乱活動の変動が,海洋前線帯の緯度に依ってどのように変わるのかについて,議論する.