2010 年度 気象学セミナー

場所 理学部 1号館 8階 851号室
日時 5 月 6 日 (木) 10:30〜12:00
講演者 大野木 和敏 氏 (気象研究所台風研究部)
講演題目 Quality Control of Observational Data and the JRA-25 Long-Term Reanalysis (観測データの品質管理と長期再解析JRA-25)
概要

要旨:現業数値解析予報システムの根幹を形成しているのは、データ同化サイクルである。これは、観測データの同化と予報を相互に依存させながらサイクル的に連続して行うもので、全球の大気の状態を高精度で再現する。長期再解析は、最新の数値解析予報モデルを使用してデータ同化サイクルを数十年分行い、過去の大気の状態を均質で高精度に再現し、気候研究をはじめとする様々な業務・研究に活用することを目的とする。JRA-25は、気象庁と(財)電力中央研究所が、気象庁現業モデルをベースに26年分のデータ同化サイクルを実施して作成し、その後もJCDAS(気象庁気候データ同化)として継続されている。 講演では、(1)現業モデルのために新規開発・改良された観測データの品質管理手法、(2)過去のラジオゾンデデータの品質調査、(3)JRA-25の概要とその特性、(4)JRA-25での熱帯低気圧の表現特性、について紹介する。(1)は講演者が気象庁数値予報課において新規開発・改良した手法であり、(2)はECMWFのERA-40プロジェクト参加時に行った過去のラジオゾンデデータの品質調査である。JRA-25では、(1)(2)の成果が使われている。また、JRA-25は、熱帯低気圧周辺風データを同化した初めての再解析である。(4)では、これをERA-40や同データを使用しない比較実験と比較しながら、JRA-25での熱帯低気圧の優れた再現性について述べる。最後に、JRA-25データの様々な利用について紹介する。