2009 年度 第15回 気象学セミナー

場所 理学部 1号館 西棟 7階 710号室
日時 12 月 3 日 (木) 16:30〜18:00
講演者1 岡本 功太
講演題目 化学気候モデルの21世紀予測実験に基づく成層圏循環変化の解析
概要

本研究はCCSR/NIES CCM REF2 シナリオによるシミュレーションデータを用い て、21世紀のオゾン回復期における成層圏循環の変化及びその力学メカニズムの 解明を目的としている。この実験では温室効果気体の増加はIPCC A1B シナリオ を、ハロゲン気体の減少についてはWMO Ab シナリオを与えている。本発表では Transformed Eulerian Mean(TEM)系で計算される流線関数で成層圏循環の変化を 明らかにし、「ダウンワードコントロール」(Haynes et al. 1991)で計算される 流線関数をもちいて変化に対する波の寄与を考えた。その結果として、21世紀後 半は下部成層圏では地形性重力波のドラッグによって駆動される循環の変化が ロスビー波によって駆動される循環よりも支配的となる可能性があることがわか った。

講演者2 笹平 康太郎
講演題目 北半球冬季ブロッキング高気圧の3次元構造と時間発展の地域特性
概要

ブロッキングとは、ある季節の上空の西風が強いはずの場所で、循環の持続的な 南北蛇行に伴い西風が異常に弱まり、移動性擾乱の進行が妨げられる現象である。

本研究の目的は、ブロッキング高気圧の3次元構造、時間発展の地域的特性につ いて統一的な解釈を提示することである。 そこでNCEPの再解析データを用いて北半球冬季、中高緯度各地で観測された顕著 な高気圧偏差について250hPaの高度場偏差を基準として合成図解析を行った。 今回の発表では250hPa面の高気圧偏差の増幅に対する移動性擾乱からのフィード バック強制を定量的な見積りと基本場から擾乱へのエネルギー変換の寄与を定量 的に見積り 高気圧偏差の増幅,維持にどのように効いているか、について報告する。