2003 年度第 1 回 気象学セミナー

場所 理学部 3 号館 326A 号室 (←ご注意下さい)
日時 4 月 15 日 (火) 16:00 -- 17:30
講演者 西井 和晃
講演題目
下部成層圏におけるロスビー波束について
概要

従来、成層圏大規模波動の研究例においては循環場を 空間スケールによって波と基本場に分離し、議論されて きた。つまり、東西方向に波数展開したそれぞれの波数 成分を波として、また東西平均場をその波の伝播する基 本場として定義される。しかし、この方法では局所的に 存在する波源が特定できず、また波の伝播に対する基本 場の東西方向の非一様性が考慮されない。

本研究では従来の手法と異なり、時間スケールによっ て循環場を分離した。つまり、循環場を数週間程度で変 動する成分と、それより長い変動成分とに時間フィルタ ーを用いて分離する。この手法を1997年冬季の南半球下 部成層圏に適用した。

この期間は成層圏循環の変動が活発で、東に伝播する 局所的なロスビー波束にともなう波列がよく観察される。 この波束は対流圏のブロッキング高気圧などを波源とし、 その伝播の性質は基本場の東西非一様性に依存すること が示された。

以上の結果を踏まえ、成層圏から対流圏に波束が伝わ り地表面の低気圧を発達させた事例と、2002年9月に観 測された、ブロッキング高気圧を波源とするロスビー波 が南極上空の突然昇温を引き起した事例について解析し た。これらは、成層圏波動を波束と捉えることによって 初めて見いだされた現象である。